受け口の治療は、
1)幼児から学童期(4歳~12歳頃)の第一期の治療で終えられる場合
2)永久歯列期(主に14歳以降)に第二段階の治療として本格矯正歯科治療が必要になる場合
がよくみられますが、今回は、永久歯列期(主に14歳以降)の受け口の治療について説明していきます。
永久歯の歯列は、第二大臼歯(前から7番目の歯)が生えるとほぼ完成となります。
この時期では、全ての歯にブラケットを装着するマルチブラケット装置で治療するかを考えますが、
治療は、主に以下のような要因によって変わります。
1.主に歯の位置関係(前歯の向きや方向など)の問題がある
1)前歯の生えている方向や角度が悪くて前歯が受け口になっていることが検査で分かったときには、歯の移動を中心に行っていきます。全ての永久歯に矯正装置を装着するマルチブラケット装置で治療することが多くなります。
2.主に骨格的(上下のアゴの大きさと位置関係)な問題がある
1)下顎(下あご)が成長している思春期:治療をすぐに開始せず顎骨の成長が少なくなる時期まで待って治療を開始します。通常は身長の伸びがほぼなくなってくる年齢(16~20歳)まで待ちます。
2)下顎(下あご)の成長がほぼ終わっている場合:マルチブラケット装置などで治療を開始していきます。
骨格性の問題がある場合の受け口(下顎前突)の治療は、子供の時の治療でしっかり改善することも重要です。
しかし、時にその後アゴの成長が起こって、歯並びが変わってしまうこともあるかもしれません。
このため、全ての歯が永久歯に生え変わって、顎の成長変化も少なくなる16-20才頃に、永久歯に矯正装置(マルチブラケット装置)をつける治療を第2段階として行うことができます。
思春期にアゴの成長が大きく、骨格的な問題がさらに明らかになってくる場合は、
咬み合わせのズレが大きくなり、口元なども受け口の傾向がさらに目立つようになることがあります。
このような骨格的な問題を改善するために、身体の成長が終わってから、
矯正歯科治療に加えて外科手術を併用する顎変形症の治療を行うことがあります。
顎変形症の治療は、18歳以降になってから行うことが多いと思います。
受け口や前歯の咬み合わせが逆になっている(反対咬合、下顎前突)といっても
治療のタイミング、治療方針、矯正装置は、年齢や歯並びの状態によっても異なるので、
気になっている方は、まず、矯正歯科で相談すると良いでしょう。